最近、認知症の人は「昔のことはよく覚えている」と聞いた。
少し不思議で、少し切ない話だと思った。
昨日のごはんは思い出せないのに、
子どもの頃の風景ははっきり語れる。
学生時代の友人の名前や、
若い頃に働いていた職場の話は、まるで昨日のことのように。
人の記憶は、本棚のようなものなのかもしれない。
新しい本は手前に置かれるけれど、
揺れが起きると、先に落ちるのは手前の本。
奥にしまわれた古い本は、意外と残る。
認知症とひとことで言っても種類はさまざまで、
たとえば代表的なものにアルツハイマー型認知症がある。
これは脳の変化によって、比較的新しい記憶から失われやすいといわれている。
だから、昔の歌を一緒に歌うと表情がやわらぐ、
若い頃の写真を見せると会話が弾む、
そんな話もよく耳にする。
記憶は消えていくもの、と思いがちだけれど、
すべてが消えるわけではない。
深く根を張った思い出は、
静かに残り続けるのかもしれない。
健康雑記として思うのは、
今この瞬間の体験も、
いつか「古い記憶」になるということだ。
家族との何気ない会話も、
季節のにおいも、
笑った時間も。
それが遠い未来に、
誰かの心の奥で、
やさしく光る記憶になるかもしれない。
だから今日を、
少しだけ大切に積み重ねていきたい。
古い記憶が、あたたかいものであるように。
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